・ヤマノススメ:二十三合目『約束』
ついに約束が叶う回。
序盤ここなちゃん様に少し使いつつ、クライマックスらしく向日葵コンビにしっかり時間を回す構成。
今まで積んできた要素が莫大なので、馥郁たる余韻があるいいクライマックスだった……。

楓さんと二人になった瞬間、持ち前の重力を全開にするひなたが相変わらず過ぎたが、実際に約束の景色を見れば、言葉もなく明日に踏み出せるという展開は期待通りであり、稀代を超えた叙情性であった。
やっぱ山の美術が最大限発揮されているアニメで、あの空気感があるからこそ、彼女らの心の動きにこっちもシンクロできる。
そういう意味では、山が零人目の主役な話ではあって、主役を存在感満載で書いてるんだからそら成功もするわな、という話。

あおいは新しい友達に構ったりしつつ、やること忘れずずーっとひなたの方向いてた。
富士山の話が冗談で流せるようになったシーンをしっかりやる所に、2クールの蓄積を感じられてとても嬉しい。
『ゆるふわ山コメディ』と銘打つこのアニメだけど、成長物語に必要な要素の蓄積と発露、その舞台となる飯能の日常描写、山の非日常描写ともに巧みにコントロールしていて、よく出来たお話だなぁと、クライマックスにつくづく思う。

富士山登山失敗からこっち、『ココにこう来てこう終わりますよ』と見せてきた見取り図通りに、そして視聴者の想像以上に綺麗に辿り着いた約束の先。
非常に素晴らしい最終回でしたね。
……え、後一話あんの! マジか!!
嬉しいっすね。

 

・四月は君の嘘:第11話『命の灯火』
コンクールの後始末とこれからのための下準備をして、かをりちゃんがこれでもかとばかりにヒロインポイント稼ぎと旅の支度をする回。
このアニメはメタファーの使い方が素直で綺麗なのが強みだと思っておるのですが、今回使われた澤辺の蛍も、また綺麗で残忍な演出だった。
ああいう目立つ演出だけではなく、ひっそりと自宅に手すりがある所とか、細部にも気が利いているのが良いところだと思います。

今回最初は、絵見ちゃんの告白はもう済ませたので、もう一人の"公生が好き過ぎて人生歪んだマン"こと武士くんが告白するターン。
今回見せたヒーロー公生への強い思い入れと理想化は、同じノイタミナ枠だったピンポンのスマイルやアクマをどうしても思い出しますが、両方才能と青春を題材にしている以上、オーバーラップする部分も出てきて当然。

似ているからこそ違う部分が目立ってくるわけで、今回で言えば、お互い正面衝突を避けて今の相手の顔色を見れる余裕はピンポンの我武者羅野郎どもには無かった部分です。
全体的に、自分の感情への対応にワンクッションある大人ですよね、このアニメの子供ら。
好きです。


起こったことの始末の他にも、新キャラ出して今後の布石をしておくのもつなぎのお話では大事。
リハビリの段階は前回のコンクールで終わったので、そこから先、修行を積み重ねて演奏家になる段階が次には来る。
そこで必要な師匠をしっかり描写する手際の良さは、やっぱり良いな。
現状公生くんは、素裸の自分をさらけ出しても、観客は喜ばない演奏家。
かをりちゃんが望んでいるのも、公生くんがなりたいのもその先のピアニストだと思うので、しっかり後見人が付いたのは安心できる流れ。

そのかをりちゃん、展開に余裕のある回を使い、視聴者にキッチリ釘を差してきました。
今回の蛍のシーンにしても、新曲決定の流れにしても、あれだけハッキリ『死にます』というサインを出されると動揺するね、解っていても。
それはやっぱかをりちゃんが魅力的に描かれているからで、公生くんの心情へのシンクロ率を上げる意味合いでも、必要なことをしっかりやってる証明でもある。
はー……死んで欲しくねぇなぁマジ。

必要な素材を丁寧に後始末/下ごしらえし、豊かな情感もたっぷり入れ込んで作られた、このアニメらしい中休みでした。
こういう仕上げ方を折り返しでしてくれると、本当に気持良く見れるなぁ。
今回の蓄積を使って物語がまた飛躍するであろうし、今後が更に楽しみです。
ただ、かをりちゃんは死なんでいいよ、マジで。

 

・プリパラ:第25話『クリスマスプレゼントフォーユー!』
2クール目終わりということで、校長とドレパ、両方との関係を清算する回。
校長の浄化をAパートで終わらせて、ライバルとの共闘とか勝ち取ったものの描写とかに尺を割く構成が良かったです。
ドレパは完全に敵ではなく仲間なのですが、そこをナァナァで済ますのではなく、しっかりと時間使ってケジメ付けたのは収まりが良い。

シュガーとひめかのすれ違いはよくあるネタっちゃあよくあるのですが、プリパラの利点を欠点として使ったこと、『学校側の禁止』という原因が校長にずっぱり刺さるブーメランであることと、過去の二人をちゃんと可愛く描いたことで、火力のあるネタに育った感じがあります。
『誰もでも皆、望む自分になれる』というのはプリパラが始まった時からの大テーマであり、アバター変換機能はその具現化なわけですが、それが命取りになるというのは上手い使い方。
シュガーがアバターの身長を少し削っているのが、コンプレックスが垣間見れて可愛いところですね。

過去の二人を可愛く描いたのは、『失った青春をもう一度やり直す』という大落ちの説得力を出すのに大事であり、あれを見た視聴者は『まぁあんだけキラキラしてお互い想い合ってたんだから、取り戻したほうが断然いいんじゃないの!!』とちゃんと感じるわけです。
いや、原色バリバリフリルバンバンなあの衣装は正直キツイけどさ……特に校長。
まぁ女の子も男の子も、子供も大人も自分の心に素直になれるのがプリパラなので、ママンたちがプリパラでクリスマスデートする展開は全然オッケー。
……やっぱBBAどもが年甲斐なく青春に煌めいてるアイドルアニメ好きだなぁ俺、マスカレードとか。


ドレパに関して言うと、二クール目を引っ張るエンジンとして投入され、狙い以上の仕事をしっかり果たして今回に辿り着いた印象。
思いの外ポンコツ化しないまま出来るライバル&リーダーだったしおんを筆頭に、プリパラという場所が持っている開放性を体現したレオナ、毒舌で話をかき回しつつ必要なタイミングでデレたドロシーと、良いキャラ揃いでした。

そういう連中とドタバタコメディを繰り広げつつ、仲良くなっていったのが2クール目なので、節目にユニット組んで新曲で〆という終わり方は非常にグッド。
ソラミとだけではなく、ドレパ自身もバラバラな所から距離を詰め、ついに三角プリチケ交換の儀に辿り着いたわけで、ホントに2クール目の要素を全部拾ってまとめた回だったなぁと思います。
懐かしいキャラたちも、沢山出てきたしね。
こういう心配りが、このアニメの好きなところの一つであります。

『クール終わりを間違えないプリリズシリーズ』の評判に違わず、素晴らしい終わり方でした。
3クール目はファルル軸に回るっぽいですが、どんな展開が待っているやら。
安心して期待したいと思います。

 

・selector spread WIXOSS:第12話『この選択は…』
『萌えカイジ』『販促をしないことが販促アニメ』などなど、様々な称号をほしいままにして来たこのアニメもついにグランドフィナーレ。
繭さんの無念を完全に昇華しきって、更生の余地のないガチ犯罪者は闇に食わせ、システム自体をぶっ壊して全てをアンドゥ。
余韻の描写にもしっかり時間を使って、いい最終回でありました。

繭さんのいいこと何もなかった人生を最後の最後で描写し、このアニメの得意技である『ゲロカス人間の価値ひっくり返し』が炸裂して終わったのは、後味良くてグッドでした。
低めの印象から生臭さを描いてキャラに愛着を覚えさせ、戦いの中で変化させて好印象を与えていくキャラ描写術は、シリーズ等して刺さる手腕だったと思います。
主人公たるるぅ子が徹頭徹尾綺麗事しか言わず、折れず曲がらずで人を信じ続けたことが、このターンの軸になってるわけですな。
他人が変わる軸になるるぅ子が、時々白々しいほど清廉潔白だったのは、振り返ってみると良いことだったなぁ。

悪霊が生み出した全方位詐欺システムに取り込まれた主人公が、最後の最後で選んだのは『システムの外側にある選択をする』という流れも、コン・ゲームの終わり方としてスッキリした印象を受けました。
一期ラストで『自己犠牲によるシステム破壊』という、先行する詐欺型バトルロイヤル作品(龍騎だのまどマギだのFateだの、まぁ色々)で必ず拾われる要素を一度拾い、ズタボロに捨て去ってから始まった二期。
巡り巡って出た答えは素直で古臭く、そこに帰ってくるしかないモノだったわけです。
色々と奇をてらっているように見えるこのアニメですが、真っ直ぐ行くところはとことん真っ向勝負だったことが、やっぱ強みだったと思います。

エピローグでの全員帰還も、今まで散々ヒドいことが起きてきたお話なので、これくらい幸せな終わり方でいいかなぁ、と感じるものでした。
一度別れた後の再会を微かに、しかししっかりと描写することで、希望のある終わり方になったと思います。
晶は無事復帰したみたいですが、能登声の伊緒奈がフォローアップしたのかなぁ……。
損失を余すところ無く補填しておかないと、繭さんの成仏も素直に受け取れないしねぇ。
ウリスに関してはマジで更生の余地がないので、ああするのがベストだと思います。
あいつが崩れない邪悪として壁を担当したお陰で、晶も繭もターンできたわけで。


作品全体を見ると『思春期の少女達がクソ詐欺システムに取り込まれて酷い目に会い、悪戦苦闘の果てに世界を救う』というお話でした。
憧れや楽しさといった綺麗な部分だけではなく、恨み辛みに欲望や痛みといった、醜く薄汚れた部分にズブズブと分け入って筆を進めていったのは、キャラにも世界観にも存在感が出て、とても良かったと思います。
女の子たちが毎回毎回顔芸し、露骨な性的当て擦りをブッパし続けるのに青春らしさは奇妙に損なわれていないという、悪趣味の扱いに関してはホント天下一品なアニメでした。

岡田麿里らしい根性の悪さ(褒め言葉)が目立つわけですが、それも綺麗な部分をしっかり書き、真ん中に据えることに成功していたからこそ。
自分は心が歪んでいるので何かと百合方面に歪んだ感想を書いていましたが、女子中学生の真っ直ぐな交流が、お話の底を固めていたのは間違いないと思います。
光と影の描き分けと、光から影へ、影から光へ流転していく運動をしっかり描いたのは、最終話でるぅ子がまとめたグランドテーマだけではなく、キャラの立体感や物語の勢いにも強く関わる要素だったかと。
汚い部分を怠けなかったからこそ、綺麗な部分が空々しく見えにくいというか。

そもそもクソみたいなシステムのクソみたいな話なので、クソみたいな部分の描写が刺さんないと、世界観とお話に視聴者が一切ノレない結果になります。
このアニメで描写されるヒドいことは本当に酷くて、その癖目を背けられない魅力もあって、『それでもまぁ綺麗になるだろう』という信頼感も何処かにあって、全体的に綺麗と汚いのバランスが絶妙でした。


群像劇として見ると、物語的燃料が切れてきたら巧く主役を交代させ、物語の勢いを殺すことなく走りきった印象です。
主役仲良し四人組は一期でメインを務め、関係性も人生の答えもある程度以上完成した状態で、一期ラストを迎えました。
二期は『世界で一番気持ち悪いレズ』ことイオナ=ユキ=クロ=マユさんが、るぅ子の人間性に触れ合って変化していく様子とか、『ゴミクズ人間サミシガリヤ派』こと蒼井晶が依存と破滅を繰り返す様とか、『馬鹿娘とおかーさん』ことちより&エルドラの健全な関係性とか、『悪霊』繭さんがそのカルマをぶん回す様子とか、巧く焦点をずらしてドラマを生んでいました。
一期の艱難辛苦で出した答えを無駄にせず、その価値を保ったままお話を進めるために、他の人にカメラを渡す手腕は見事でした。

キャラ描写が広く深くなったことで、ラストの全員帰還も『知らない人が返ってきた』ではなく、『ああ……返ってきて再び会えて、とても良かった』ってなりますしね。
その上で最後の〆は主人公たるるぅ子とそのルリグに任せたことで、お話の背骨もぶっとく通りましたし、キャラの出番調整は非常に巧く行ってたと思います。
やっぱ終わり良ければ全て良しであり、良く終わるためには真ん中頑張んないとダメってことだなぁ。

爆発力のある始まり方をし、熱量のある展開で走り、綺麗に〆た素晴らしいシリーズアニメでした。
テーマの取り扱い、キャラの立て方、演出のオリジナリティ。
良いところが沢山あって、とても好きなアニメです。
有難うございました。

 

・アイカツ!:第113話『オシャレ☆ヴィヴィッドガール』
新キャラテコ入れのため延び延びになっていた、ひなきちゃんのプレミアムドレスゲット回。
『アイカツ!界で最も危うい女』ことひなきちゃんメインの話らしく、今回も重たい闇がちらほら見えた。
三年間、ずーっと心の傷を抱えていたのか……。
あんま関係ないけど、美少女アイドルが坂を下り続ける映像に一定以上の需要があるアイカツ!世界は、やっぱ相当歪んだ性癖に支配されてると思います。

外見や態度に惑わされがちですが、ひなきちゃんは繊細な上に心の傷が後を引く、すっげー面倒くさい女の子だと思います。
三年前のヴィヴィキス敗戦にしても、新鮮味のないアイドルカツドウにしても、とにかく豊かな感受性で過剰にメッセージを受け取って、自罰的に傷を追って立ち直れないという、1~2年目のアイカツでは想像も出来ないような、ポジティブな仮面を被ったネガ娘。
そういう子が頭の足りない天才と、顔だけいいコミュ障と出会って一歩ずつ変化していくというのが、ひなきちゃんを足場にした時の三年目なんでしょう。

さらっと流してましたが、ひなきちゃんにとってあかりちゃん&スミレちゃんとの出会いがどれだけクリティカルだったのか、テラスでの語らいで結構見えました。
あかりちゃんとスミレちゃんに出会わなかったひなきちゃんの思春期は、どんどん灰色になった挙句破滅するルートしか見えないレベル。
それはあかりちゃんやスミレちゃん、珠璃ちゃんにとっても同じだと思うので、やっぱ三年目は明確に課題を背負わせ、それを解決していくことがお話のエンジンなんだなぁと再確認。

それに加えて、バラバラだった子供たちが出会い、徐々に距離を詰めていく関係性の変化も、物語の推進力なんだな。
今回あかりルームで紅茶飲んでる描写がありましたが、ひなきちゃんから積極的にスミレちゃんに話題を振っていて、最初期と比べると間合いが縮まったなぁとホッコリしました。
ここら辺は長期シリーズならではのじっくりとした変化の描写で、ロングスパンの強みを思う存分活かしているポイント。


今回正面からオシャレと四ツ相撲をして、KAYOKOさんのアシストなどもありつつ自分なりの答えを出したのは、彼女の成長譚として的確な一歩だったと思います。
ひなきの強みは経験と情報処理とファッションなので、得意分野で勝負する話は大事。
KAYOKOワールドが全体的にバブリーというか80Sというか、『早くミラージュ騎士団に帰れ』とか『"ハイパーメディアクリエイター"だの"ティーセレモニーアドバイザー"だの"旅人"だの、碌でもない肩書の名刺がたくさん集まりそう』とか、そういう印象のパーティーだったのは横においておこう。
あの人達もアイカツ!世界の大人なので、全員成すべきことを成せる義人ばかりなのだ多分。

ありきたりでも人まねでもなく、自分を出すという答えの出し方は、彼女の初個別エピソードといえる第105話『はじけるヒラメキ☆』と同じ。
こうして何度も同じテーマを繰り返すことで、キャラの背骨がはっきりと見えてくるし、積み重ねた成長も見える。
臆病なライオンの二歩目として、よく出来たお話だったと思います。
あとおとめの出番がたくさんあって、作画も気合が入っていて可愛くて、先輩風も適切に吹かせていたので素晴らしかったです(キャラ萌えでダイナシEND)